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2009年1月

2009年1月31日 (土)

『デーヴ』 黒澤『影武者』からのパクリも

 ホワイトハウス周辺に集まったウンカのごとき群衆、オバマ新大統領によせる国民の期待を象徴するような映像だが、なんともはやである。ベトナム戦争を批判したマーチン・ルーサー・キングと、この男を同じように評価するとえらいことになる。肌の色は関係ない。コンドリーサ・ライスは、大変好戦的だった。ナチがユダヤ人を押し込めたゲットーのごときガザに無差別殺人を実行し、女子供800人を含めた市民1200人を殺したイスラエルを支持するなどとほざいているのだから。軍隊をイラクからは撤退するがアフガニスタンには増兵するらしく、ペシャワール会でただ一人残って活動している中村哲代表が心配である。

 てなことで、アイバン・ライトマン監督、1993年製作の大統領ファンタジー。脚本はトム・ハンクスが子供時代のメンタリティーに戻る『ビッグ』のゲイリー・ロス、キャプラテイストも味わえる秀作。

 田舎で小さな派遣会社を経営するケビン・クラインは、現大統領と瓜二つ、そのキャラを生かして自動車販売店のイベントにも出ていたりする。ホワイトハウスはケビンをスカウトし、大統領が多忙なとき本人のダブルにして成功する。ところが、大統領はスタッフの若い女(出始めのローラ・リニー)と浮気中に腹上死。このあたり、クリントンを連想させて面白い。
 大統領の死を公表すれば、副大統領がスライドして大統領に就任する段取りなので、主席補佐官のフランク・ランジェラが猛反対、権力を維持したいためケビンが正式にオールタイムで雇われることになるのだが・・・。

 プロットの前半で、『影武者』からいただいていると思しきシーンが多々見られる。
 まず、初めは臨時雇いで、そのそっくりぶりを試し、本人が死んだために全日制で影武者を勤めることになるいきさつ。『影武者』の閲兵シーン(これ、勝新太郎だったら名場面になっていろうに)が、本作ではホテルの出口から車に乗り込むまでになっており、それぞれ調子にのってやりすぎるのも同じ。
 新しいすみかとなる場所、『影武者』の武田館にあたるホワイトハウスを報道担当補佐官が丁寧に説明する。
 記者会見上で、大統領のクセをスタッフがデーブに教えるが、デーブの方が詳しく、スピーチのそっくりぶりに報道担当補佐官らが瞠目するのは、『影武者』で近習たちを前に信玄のしぐさをしてみせ、近習たちが落涙するシーンのいただきだ。

 やがて、持ち前の正義感から影武者が一人歩きし、大統領夫人を味方につけ、完全雇用法案を通すあたりはキャプラ的な味わいで、実によく出来ている。

 ケビン・クラインが好演、フランク・ランジェラも秀逸。昔ドラキュラを演じていたこの役者、中年になり太ってから、素晴しくよくなった。今年、ニクソンを演じてオスカー主演賞候補になっているのは嬉しい。『天国から来たチャンピオン』『ミッドナイトラン』のチャールズ・グローディンも楽しい。

 ニュース番組のキャスターや記者に本物が登場しており、オリバー・ストーンが狂信的に影武者説を実証しようとし、有名な司会者ラリー・キングにたしなめられるシーンは爆笑もの。

 このようなヒューマニズムをアメリカ大統領に期待できるのは、映画の中だけ。取り巻きに好戦的な連中ばかり集めたオバマの化けの皮が剥がれるのは時間の問題である。スピーチが素敵だなんて思っている人は、一度イスラエルの成り立ちを勉強したほうがいいでしょう。


 

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