『モーターサイクル・ダイヤリーズ』 青年はキューバをめざす
若き医学生時代のゲバラが、友人と夏の南米大陸を旅する、爽やかなロードムービー。
もうちょっと、気の利いた邦題を考えつかなかったのか。
観終わって、『セントラルステーション』の監督の作品だと分かった。
ネオリアリズモを思わせるような作風のこの監督、人間を観る目が優しい。
夏の南米の自然も美しく、50年代を再現するのに、街並や船までそれらしい古いものが残っているのも面白い。まだ、貧困が残っているのでしょうね。
搾取される先住民やハンセン病に苦しむ人々など、本物が出ているので凄い。
主人公エルネストの心に、じわじわと将来の道が見えてくる。
本当のエピソードか知らないが、ハンセン病患者のいる向こう岸へ、無謀にも闇の中を泳いで渡ろうとするシーンなどシンボリックで巧い。
飛び立つ飛行機を見つめるのが、今も健在の相棒だと思える老人が出てくる。リアルな描写のラストにこういった変化球は効果的。
主人公のそれからの人生が分かっているので、小さくなっていく飛行機が遠い世界に旅立ったゲバラその人に思えてくる。
相棒の役者の顔がオマー・シャリフに似ており、ゲバラの血縁だと知り納得。
60年代後半のアメリカ映画『ゲバラ』でゲバラに扮したのがオマーだったから。
リチャード・フライシャー監督のこの映画、カストロがなんとジャック・パランス!と云う珍品。タウンゼント・ハリスのジョン・ウェイン、横綱雷電の宇津井健くらい爆笑キャスティグ。
このお話、後半、既視感がした。
福岡出身で、ペシャワール会創設者中村哲のことだと気がついた。
中村哲は、山登りのため訪れたアフガニスタンで、ハンセン病と貧困に苦しむ人々と出会う。ハンセン病治療をきっかけに、20数年アフガニスタンの人々のために、戦火の中、井戸を堀り、灌漑用水路をほとんど人力で切開いている。
『医者井戸を掘る』『医は国境を越えて』など、この人の奮闘記は抜群に面白い。
なにしろ、中村哲の祖父が『花と龍』の玉井金五郎。気っ風のよさや度胸の座り方は、隔世遺伝しているのだろうか。
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